2026.08.01

第3話 朝7時の飛び込み営業から始まった 超高層施工への道

配管学校を無事に卒業し、「給水装置工事主任技術者」「排水設備工事責任技術者」、そして溶接などの資格を次々と取得しました。 さっそく水道事業者としての登録を済ませたものの、現実は甘くありません。手元にあるのは資格だけ。いきなり大きな現場を動かせるだけの人材もおらず、実績も、ノウハウも、何もかもが足りない「ないない尽くし」のスタートでした。

見積の適正単価すら分からなかった私は、当初、仕事をあえて外注(協力業者様)にお願いし、その見積書や実際の施工内容を文字通り「見て、盗んで、覚える」ことから始めました。 ちょうどこの頃、関西でも少しずつ超高層現場が立ち上がり始めていたため、それらの現場でどんな部材や機材が使われているのかも、必死に観察して回りました。

そんなある日、とある大手ゼネコンの本社ビル建て替え工事の情報を耳にします。 実績がどうしても欲しかった私は、今では考えられないような行動に出ました。「朝の7時」に、その現場へ飛び込み営業をかけたのです。

普通、営業といえば昼間にネクタイを締めて行くものです。しかし、朝7時に作業着で現れる営業マンなんて他にいません。最初は当然、「なんだコイツは」と煙たがられました。しかし、ゼネコンの現場の朝は早い。朝一番から頭を下げて立っている私を見て、「お前、朝早くから頑張っているな」と、少しずつ話を聞いてくれる人が現れ始めたのです。

その時、私が投げかけた営業トークは、今思えば大博打でした。

「水道工事をさせてください。どうしても実績を作りたいんです。材料費だけで構いません!」

目先の利益を全て捨ててでも、私は「一歩目の実績」という無形の資産が欲しかった。その覚悟が通じたのか、なんと本当に、初めてとなる給水施工のチャンスをいただくことができたのです。

現場を必死に、完璧に納めました。すると、その誠意を神様が見ていてくれたのかもしれません。 その後、そのお客様が**「40階建ての超高層マンション」を手がけることが決まった際、なんと当社に仮設給排水工事を丸ごと請け負わせていただくことになったのです。

実績も何もない若造の「覚悟」を買い、チャンスをくださった当時の現場の皆様には、今でも感謝の念に堪えません。この出会いこそが、当社の大きな転換期――「第二創業」への扉を開く鍵となりました。